こんにちは。強い寒気が続き、ますます冷え込む毎日ですね、みなさまはどうお過ごしでしょうか?この時期当宿にお越しの際はタイヤチェーンなどの装備も忘れずにお持ちくださいね。
さて、本日ご紹介いたしますのは、吉井町のベーカリー「ぱんのもっか」です。以前こじおだよりでご紹介した「ひた屋福富」のお隣にあるお店です。
店主の吉岡さんは高知県出身。地元でパン職人として働きながら、いつかは自分の店を持ちたいと考えていた吉岡さんに転機が訪れたのは今から6年ほど前のことでした。
うきはを新天地として選んだのは、食べ物のおいしさ、そして人と人のつながりの魅力に触れたから。最初の3年は知人のパン屋を借りる形でお店を営んでおられましたが、その後2014年に現在の場所にお店をオープンしたそうです。
通常パン生地に使用される胚乳だけでなく、表皮と胚芽も石臼挽きで小麦粉にした「全粒粉のブール」。ハード系パンらしいパリッとしたガワの食感が楽しめ、クセのない味わいはお料理との相性バツグンです。
かわいらしいお店の名前は、吉岡さんの娘さんの名にちなんだものにしたいという思いから。お名前を中国語に訳すと木の瓜と書いて「木瓜」、その読みをひらがなでつけたのが「ぱんのもっか」です。娘さんへの愛情、そして長年の夢だった自分のお店への愛情が感じられます。
以前はパンづくりに追われてお客様とふれあう機会がなかったため、今はお買い物に来てくださるお客様との対話が楽しい、と語る吉岡さん。余計なものを使わず、手づくりで、ほかのお店にない商品づくりを心がけていらっしゃいます。地元の材料を使うことにもこだわり、ハム・ソーセージ類ははリバーワイルドさん、たまごはゆむたファームさんから仕入れておられるそうです。季節感のある菓子パンづくりには、うきはでとれる四季折々のフルーツも欠かせません。
梨のコンフォートとチョコレートをデニッシュ生地で包んだクロワッサン。梨のコンフォートとビターな甘みのチョコレートは相性が良く、サクサクとした軽い口あたりが特徴です。
「カレーパンの具やカスタードクリームなど、今は自分でつくらなくても工程を短縮できる便利な素材がいくらでもあります。でも、それらを手づくりすることにこだわることで、ウチの店にしかないオリジナリティを出せればいいかなと思って」と語る吉岡さん。お話をうかがっていると、パンづくりへの情熱がひしひしと伝わってきます。
「スレンダー」と名付けられたインパクトのある形が印象的なパン。ベースは塩パンですが、すらりと伸びた2本の足(?)の部分はカリカリ感が楽しめます。
店内には菓子パン、惣菜パンが所狭しと並べられており、フランスパンや食パンなどのコーナーも。オープン当初はふわふわ、やわらかい菓子パンが人気だったそうですが、最近の健康志向にともないハード系パンや天然酵母のパンが現在は注目を集めているそうです。「お客さんがいろいろなパンを積極的に楽しみ始めている気がします。商品の幅が広がって僕もやり甲斐を感じますね」と笑う吉岡さん。そこで、どんなパンをつくるのが楽しいのか尋ねてみました。「フランスパンやクロワッサン、それからクリームパンといったシンプルなパンですね。作り手の腕前が如実に表れる、ごまかしの効かないパンほど突き詰め甲斐があります」。
オーソドックスなタイプのクロワッサン。ジャムを塗ったりしてももちろんおいしいですが、生地に練り込まれたバターのほどよい甘みが感じられるため、軽くトーストしてパンそのものの風味を楽しむのもオススメです。
最近はパンを取り巻く“食”全体にも関心を持っておられる吉岡さん。日常の食事の主食といえばお米ですが、カロリーが低くふすまや全粒粉を使った栄養価の高いパンをもっと日常の主食に活用してもらえるような取り組みにも積極的です。お店が休みの日には「朝ごパン会」「夜ごパン会」という食事会も定期的に催されています。ある日の催しでは、和食の料理人がつくる料理とそれにあう日本酒、そして吉岡さんが焼いたパンを参加者に味わってもらい、お米感覚でパンを日常的に利用できることを知ってもらう機会をつくりました。もちろん料理にあわせるパンも工夫し、イチジクを生地に練り込んだパンは肉との相性バツグンだとか。参加した皆さんに「天然酵母のパンって和食にあうね」「パンにはワインだと思っていたけど日本酒もいいね」と喜んでいただき、パンの持つ主食としての可能性に手ごたえを感じているそうです。
ついつい二度見してしまいそうな、その名も「骨パン」。生地には粉チーズとブラックペッパーが練り込んであり、両端の太い部分にはポークウインナーが入っています。お子様だけでなくお父さんの酒のおつまみにも合いそうですね。
そんな吉岡さんが現在思い描いている夢が、焼きたてのパンにぴったりの料理が楽しめるイートインスペースの設置。「パンをつくる側としては、香ばしい香り漂う焼きたてのベストな状態で食べてもらうのが最高の喜びです。僕自身はパンのことで精一杯なので、料理人を雇いたいなあと。惣菜パンをつくるときも一から具の研究をするのは大変だけど、料理人のアドバイスがあればとても助かりますし。今は2階が住居スペースですけど、そこをカフェにできたら面白そうですね(笑)」とストレートに夢を語ってくださった姿が印象的でした。
お店の小脇の通路を奥に進むと、テラスタイプのイートインスペースが用意されています。吉井町の白壁の美しい風景を眺めながらゆったりとしたひとときを。
市外・県外からのお客様も多いぱんのもっか。商品が売り切れると早めに閉店されることもありますので、お立ち寄りの際は時間的に余裕を持ってお越しください。